神経のない歯が痛むのはなぜ?歯根破折の症状と精密治療 | 恵比寿の歯医者・矯正・審美歯科|恵比寿一丁目小島デンタルクリニック

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神経のない歯が痛むのはなぜ?歯根破折の症状と精密治療

「神経の治療をした歯なのに、噛むと痛む…」

「歯茎にニキビのようなものができて、押すと違和感がある」

「昔治療した差し歯の周りが、なんとなく腫れぼったい」

このような症状に心当たりはありませんか?

神経を抜いた歯は痛みを感じにくくなるため安心しがちですが、実はその「痛みを感じない」ことこそが、静かに進行する深刻なトラブル「歯根破折(しこんはせつ)」のリスクを高めているのです。

歯根破折はご自身では気づきにくく、放置すると最終的に抜歯に至る可能性が高い厄介な状態です。

この記事では、恵比寿一丁目小島デンタルクリニックが、なぜ神経のない歯が折れやすいのか、歯根破折のサインや症状、そして「抜歯しかない」と諦める前に知っていただきたい精密な診断と歯を残すための治療選択肢について、詳しく解説していきます。

 

そもそも「歯根破折」ってどんな状態?

歯根破折とは、その名の通り「歯の根っこ(歯根)が折れたり、ヒビが入ったりする状態」のことです。

歯の見える部分(歯冠)が欠けるのとは違い、歯茎に埋まっている根っこで起こるため、ご自身で鏡を見ても気づくことはほとんどありません。

まるで家の土台にヒビが入るように、歯を支える基礎の部分がダメージを受けてしまう状態です。

 

なぜ歯根破折は気づきにくいのか

歯根破折が厄介なのは、初期症状がほとんどないからです。

特に神経のない歯(失活歯)の場合、痛みを感じるセンサーがないため、根っこにヒビが入ってもすぐには気づけません。

「なんとなく違和感がある」「噛んだ時に変な感じがする」といった、ごくわずかなサインを見逃しているうちに、ヒビが細菌の侵入口となり、歯の周りの骨を溶かし始めます。

そして、腫れや痛みといったはっきりした症状が出たときには、かなり進行してしまっているケースが多いのです。

 

なぜ?神経のない歯が歯根破折しやすい3つの大きな理由

「どうして神経を抜いた歯ばかり、そんなトラブルが起きるの?」と不思議に思いますよね。

それには、ちゃんとした理由があります。主に、以下の3つが大きな原因と考えられています。

 

理由1:歯が「枯れ木」のように脆くなってしまうから

歯の神経(歯髄)は、ただ痛みを感じるだけでなく、血管を通じて歯に栄養や水分を送り届ける大切な役割を担っています。

根管治療で神経を取り除くと、この栄養供給がストップします。水分を失った木が枯れ木になって折れやすくなるように、神経のない歯は健康な歯に比べて弾力性を失い、脆く、割れやすくなってしまうのです。

 

理由2:歯を補強する「土台」が“くさび”になることがあるから

神経を抜いた歯は、被せ物の前に「コア」と呼ばれる土台を入れて補強します。

このコアが、昔ながらの金属製(メタルコア)の場合、注意が必要です。金属は非常に硬いため、しなやかさを失った歯にとって「くさび」のように作用し、噛むたびに歯の根っこを内側から押し広げるような力をかけてしまいます。

この力が長年蓄積されることで、歯根破折を引き起こすのです。

 

理由3:噛む力の「センサー機能」が失われてしまうから

歯の神経には、噛んだ時の力を感知して「これ以上強い力は危ない」と脳に伝えるセンサーの役割もあります。

神経を抜くとこのセンサーが機能しなくなるため、無意識のうちに過剰な力で噛んでしまったり、歯ぎしりや食いしばりのダメージをダイレクトに受けやすくなったりします。このコントロールを失った強い力が、歯根破折の引き金になるのです。

 

これってサインかも?見逃したくない歯根破折の症状リスト

神経のない歯は痛みを感じにくいですが、破折が進行し、周囲の組織に炎症が広がると様々なサインが現れます。一つでも当てはまるものがあれば、早めに当院へご相談ください。

  • 噛んだ時の痛みや違和感
  • 歯茎の局所的な腫れ
  • 歯茎にニキビのような「できもの」ができる(サイナストラクト)
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 差し歯や被せ物がよく外れる
  • 歯が少しグラグラ揺れる

 

【豆知識】神経がないのになぜ痛いの?

これは多くの方が抱く疑問です。

痛みを感じているのは、歯そのものではなく、歯の周りにある「歯根膜」というクッション役の組織や、歯を支えている「歯槽骨」です。

歯根破折のヒビから細菌が侵入・繁殖し、周囲の組織に炎症を起こすことで、「噛むと痛い」「ズキズキする」といった症状が現れるのです。

 

歯根破折は見極めが肝心|恵比寿一丁目小島デンタルクリニックの精密診断

歯根破折の診断は非常に難しく、歯科医師の経験と設備が治療結果を大きく左右します。

当院では、肉眼では見えない微細なヒビや内部の状態を正確に把握するため、先進的な設備を駆使した精密診断を徹底しています。

  • マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
    当院では、Leica社の歯科用マイクロスコープを使用し、視野を最大25倍まで拡大して診査・治療を行います。暗くて狭いお口の中でも、髪の毛(約0.05~0.15mm)よりも細い0.03mmの違いにこだわることで、微細なヒビも見逃さず、確実な診断と質の高い精密治療を実現します。
  • 歯科用CT
    通常のレントゲンでは二次元的にしか見えませんが、歯科用CTを用いることで、歯や顎の骨を三次元的に、あらゆる角度から確認できます。これにより、破折の正確な位置、深さ、方向、そして周囲の骨への影響まで詳細に把握することができ、最適な治療計画の立案に繋がります。

【CT撮影について】
適切な治療方針の決定にCT撮影が不可欠と判断される場合がございます。その際は、検査の必要性を丁寧にご説明のうえご提案いたします。(CT撮影費用:15,000円(税込))

 

「抜歯しかない」と諦める前に。当院の歯を残す治療の選択肢

かつては「歯根破折=抜歯」が一般的でしたが、診断技術と治療法の進歩により、歯を残せる可能性は格段に広がりました。

当院では、患者様の大切な歯を一本でも多く残すため、様々な保存治療に対応しています。

 

Point 1:接着保存治療

破折が軽度な場合に、マイクロスコープで患部を確認しながら、特殊な接着剤で割れた部分を修復・固定する治療法です。

感染が広がっていない初期段階であれば、抜歯を回避し、歯の機能を維持できる可能性があります。

Point 2:意図的抜歯と再装着法(意図的再植術)

歯根の深い部分で破折しているなど、通常のアクセスでは治療が困難な場合に適用します。

一度安全に抜歯し、お口の外で破折部を確実に接着・修復してから、元の場所へ戻す(再植する)高度な外科処置です。

Point 3:歯周外科処置(クラウンレングスニング、エクストルージョン)

破折線が歯茎の下にある場合、被せ物を作ることができません。

このようなケースでは、歯茎のラインを調整する「クラウンレングスニング」や、矯正力を利用して歯の根を少し引き上げる「エクストルージョン」といった外科処置を行い、破折部を歯茎の上に出すことで、歯の保存と被せ物の装着を可能にします。

これらの治療法は、歯の状態や破折の仕方によって適応が異なります。

当院では精密な診断に基づき、それぞれの患者様にとって最善の治療法をご提案いたします。

 

大切な歯を歯根破折から守るために。当院が提案する予防策

一度治療した歯を、二度と歯根破折させないことも重要です。

当院では、治療だけでなく、根本原因にアプローチする予防策にも力を入れています。

  • 咬合治療によるバランス調整
    噛み合わせのバランスが悪いと、特定の歯に過剰な負担がかかり、破折のリスクが高まります。当院では、お口全体のバランスを考慮した咬合治療を行い、力が均等に分散するように調整します。
  • ファイバーコアの活用
    歯根破折の原因となる金属製の土台(メタルコア)に代わり、当院では歯に近いしなやかさを持つ「ファイバーコア」を推奨しています。歯への負担を和らげ、破折リスクを大幅に軽減できます。
  • マウスピース(ナイトガード)の使用
    歯ぎしりや食いしばりの癖がある方には、就寝中に装着するオーダーメイドのマウスピースをご提案します。歯にかかる破壊的な力から歯を守る、最も効果的な予防法の一つです。
  • ボツリヌス治療
    噛む力そのものが非常に強い方には、咬筋の緊張を和らげるボツリヌス治療も有効です。筋肉の過度な働きを抑制し、歯への負担を根本から軽減します。

 

お口だけの問題ではない?歯根破折と全身の健康との意外な関係

「たかが歯1本の問題」と侮ってはいけません。

歯根破折によって引き起こされる慢性的な炎症は、細菌やその毒素が血管を通じて全身を巡り、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞といった全身疾患のリスクを高める可能性があることが、近年の研究で指摘されています。

お口の健康は、体全体の健康の入り口です。歯根破折を放置することは、全身の健康を脅かすリスクを抱え続けることにもなりかねません。

 

他院で「抜歯」と診断された方へ|セカンドオピニオンのご案内

「歯を抜きたくないのに、抜歯しかないと言われた」 「今の治療方針に不安がある」

もしあなたがこのような不安やお悩みをお持ちなら、ぜひ一度、恵比寿一丁目小島デンタルクリニックのセカンドオピニオンをご利用ください。

当院の院長は、インプラント・審美・歯周病・再生療法を専門とし、国内外で研鑽を積んできました。その豊富な知識と経験、そして先進の設備を駆使して、あなたの歯を残せる可能性をもう一度探ります。

患者様が納得して治療を選択できること。それが最も大切だと考えています。

 

まとめ:恵比寿で歯根破折にお悩みなら、一度ご相談ください

神経のない歯のトラブルは、静かに、そして気づかないうちに進行します。

  • 「噛むと痛い」「歯茎の腫れ」は歯根破折のサインかもしれません。
  • 痛みは、歯の周りの組織が細菌感染を起こしている証拠です。
  • 当院では、CTやマイクロスコープによる精密診断で原因を徹底的に究明します。
  • 接着治療や再植術など、歯を残すための多様な選択肢をご提案できます。

「これくらいなら大丈夫かな」という自己判断が、手遅れに繋がることがあります。

JR恵比寿駅西口から徒歩3分の当院では、患者様一人ひとりに寄り添い、根本原因からアプローチするオーダーメイド治療を行っております。少しでも気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

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TEL:03-6277-2150
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歯根破折とは?症状と治療法

院長 小島将太郎

院長

小島将太郎

経歴

2003
日本歯科大学卒業
2007
ICOI(国際口腔インプラント医学会)認定医取得
2009
近未来オステオインプラント学会(IPOI)認定医取得
2012
恵比寿西口デンタルクリニック開設
2013
歯学博士号取得
2014
近未来オステオインプラント学会(IPOI)専門医取得
2016
恵比寿一丁目 小島デンタルクリニックに改名

所属学会等

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