歯根破折とは?症状と治療法|恵比寿でおすすめの歯医者なら恵比寿一丁目小島デンタルクリニックへ

Tooth root fracture

出典:峯歯科 高輪松ケ丘

歯根破折の原因と特徴

歯根破折は、神経を取った歯や金属の土台が使用された歯など、特定の条件下で発生しやすいです。

  • 神経を取った歯(失活歯)
  • 金属の土台(メタルコア)を入れた歯
  • 歯ぎしりや強い噛み合わせ

歯根破折が起こりやすい歯には共通した特徴があります。以下に、特に注意すべきケースについて説明します。

  • 神経を取った歯(失活歯)

    神経を取った歯(失活歯)は、血流がなくなるために乾燥して硬くなり、弾力を失います。
    このため、外部からの圧力に対して耐久性が低下し、歯根破折が起こりやすくなります。
    根管治療後の歯は、適切な補強を行わない限り、長期的には破折リスクが高まることが考えられます。

  • 金属の土台(メタルコア)
    を入れた歯

    出典:PDM21

    金属製の土台(メタルコア)を使用した歯も歯根破折が発生しやすいケースの一つです。
    金属は硬く、歯の弾性と合わないため、噛む力が直接的に歯根に負担をかけます。
    その結果、時間の経過とともに歯根に亀裂が入りやすくなるのです。
    現在では、より歯に優しいファイバーコアなどが推奨されることが多くなっています。

  • 歯ぎしりや強い噛み合わせ

    歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、歯や歯根に過度な力が加わり、破折のリスクが高まります。
    特に無意識のうちに行われる夜間の歯ぎしりは、長期間にわたって歯根に負担をかけ、結果的に破折を引き起こす原因となることがあります。
    こうした場合、マウスピースなどの使用によって歯を保護することが有効です。

歯根破折の症状と診断方法

歯根破折は初期段階では目立った自覚症状が少ないため、早期発見が難しい疾患です。
進行することで痛みや腫れが現れ、症状が進むと歯の保存が困難になることもあります。そのため、早期の診断と適切な治療が重要です。

初期症状の見つけ方

歯根破折の初期症状は非常に微細で、患者様自身が気づきにくいことが多いです。初期の段階では以下のようなサインが見られることがあります。

  • 歯ぐきの局所的な腫れや違和感
  • 歯が軽く動く感じがする
  • 噛んだときに鈍い痛みや不快感がある

これらの症状は、虫歯や歯周病と似たものであるため、見過ごされることが多いです。しかし、少しでも違和感がある場合は早めに歯科医院を受診することが大切です。

X線やCTによる診断の重要性

歯根破折は目視だけで確定診断を行うことは難しいため、X線写真やCTスキャンを用いた検査が不可欠です。特にCTスキャンは3Dで歯の状態を詳細に把握できるため、ひび割れの程度や位置を正確に確認することができます。
これにより、治療方針を適切に決定することが可能です。

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診断の難しさとポイント

歯根破折の診断は、症状が進行している場合を除いて非常に難しいことがあります。破折線が歯根内部にある場合、X線やCTスキャンでも判別が難しいことがあり、歯周ポケットの深さや膿の有無など、複数の要素を組み合わせた診断が必要です。

当院で行う歯根破折治療の選択肢

歯根破折の治療は、破折の位置や程度、歯の状態によって治療法が異なります。
当院では、患者様の歯をできる限り保存し、長期的にその機能を維持することを目指した治療を行っています。
それぞれのケースに最適な治療法を選択し、患者様一人ひとりの状況に寄り添った治療計画を提案いたします。ここでは、当院で対応可能な歯根破折治療の選択肢について詳しくご説明いたします。

Point 01接着保存治療

出典:マツモト歯科クリニック

接着保存治療は、歯根破折の初期段階や軽度の場合に行われる治療法です。
この方法では、破折した部分を特殊な接着剤で固定し、歯の強度を保ちながら保存を図ります。
適切な条件が整っていれば、抜歯を回避し、歯の機能を維持することが可能です。
ただし、この治療法は破折の進行が軽度であり、破折線が感染していない場合に限られます。
破折が進行しているケースでは、意図的抜歯と再装着法やクラウンレングスニングといったより高度な治療法が必要になる場合があります。

Point 02意図的抜歯と再装着法

意図的抜歯と再装着法は、歯根破折が歯ぐきの中深くにあるケースで適用される治療法です。
一度歯を抜いて破折部を修復し、再び歯を元の位置に戻します。
この方法は、歯ぐきの中にある破折部の修復や感染部の除去が可能となるため、歯を失うリスクを軽減できます。
具体的な手法として以下が含まれます。

意図的再植術

一度歯を抜歯し、口腔外で破折した部分を修復してから再び歯を元の位置に戻す治療法です。この方法は、破折部が歯ぐきの中にあり、他の保存療法が適用できない場合に用いられます。特に、歯ぐきの下にある破折部が原因で保存が困難なケースでは、効果的な治療法とされています。
この治療法のメリットは、歯を失うリスクを軽減できる点にあり、患者様自身の天然歯を可能な限り活用することを目指しています。一方で、高い技術が必要とされ、術後の管理が重要です。

口腔外接着再植法

意図的再植術の一環として、抜歯した歯の破折部分を特殊な接着剤で修復し、歯を再植する方法です。抜歯後、速やかに修復処置を行い、歯を元の位置に戻すことで、歯の機能を回復させます。この治療法では、接着剤の選択や修復技術が成功率を左右するため、専門的なスキルが求められます。また、この方法は破折線が単純で感染が限局している場合に適しており、術後の管理が適切であれば、長期間歯を維持できる可能性があります。

これらの手法は、患者様自身の天然歯を可能な限り保存することを目的としています。
術後のケアと管理が治療成功の鍵を握ります。

Point 03歯周外科処置によるクラウンレングスニング

歯根破折が歯ぐきの中深くに及んでいる場合、歯周外科処置であるクラウンレングスニングが必要です。
この治療では、歯ぐきを切開して破折部を露出させ、適切な治療を施した後に被せ物を装着します。
クラウンレングスニングは、歯の残存部分を確保し、安定した補綴物の装着を可能にします。

エクストルージョン(歯の矯正的挺出)

クラウンレングスニングの代替法として、歯根破折が歯ぐきの中深くに及んでいる場合に行われる治療法で、矯正装置を用いて破折部分を歯ぐきの外側に引き出す(挺出させる)手法です。破折部が歯ぐきの上に露出することで、保存治療が可能になる場合があります。この治療は、歯を抜かずに保存できる可能性を広げるために効果的です。ただし、治療には時間がかかる場合があるため、患者様の希望や生活スタイルに応じた治療計画を立てることが重要です。

  • 治療前
  • 治療前(レントゲン)
  • 治療前の歯根線(レントゲン)
  • 矯正的挺出後(レントゲン)
  • 治療後

歯根破折やパーフォレーション(穿孔)した場合は、保存不可能と判断し、抜歯を進める場合があります。
このケースでは、骨の状態が良い事と歯根が長いため、矯正的に挺出させても歯冠・歯根比は問題無く、強い咬合にも耐えられるためこの治療法が適用になります。

実際の症例はこちら

治療成功の条件と術後のケア

意図的再植術、口腔外接着再植法、エクストルージョンのいずれの治療法でも、成功には適切な診断と計画、術後のケアが欠かせません。当院では、治療の成功率を高め、患者様の歯を長期的に維持するために、以下の条件を重視しています。

  • 破折の位置と程度の診断

    破折が浅く、感染が限局していることが保存治療の鍵となります。CTやX線検査を活用し、破折の範囲を正確に把握します。

  • 歯の残存状態

    歯の残存質が十分であり、治療後も機能を維持できることが条件です。特に、噛む力が集中しないよう適切な補綴計画が重要です。

  • 感染コントロール

    破折部や周囲組織に感染が少ない状態であることが治療成功の大きな要因です。感染が広がっている場合は、まず除菌処置を優先します。

治療後のケアも治療を長期的に成功させるために重要です。
当院では、定期検診とメンテナンスを通じて早期の異常発見や歯周病予防を推奨しています。
また、噛み合わせの調整により歯根への負担を軽減し、歯ぎしりや食いしばりがある場合はナイトガード(マウスピース)の使用を提案します。
さらに、正しいブラッシングや歯間ケアなど患者様自身のセルフケアが治療結果の維持に不可欠です。これらを徹底することで歯の健康を長く保つことが可能です。

症例の紹介

当院では、多くの症例を扱ってきました。
例えば、口腔内接着法による軽度の歯根破折の修復や、意図的抜歯と再装着法による中度のケースの治療などがあります。
各症例において、患者様一人ひとりの状況に合わせた最適な治療法を選択し、歯をできる限り保存することを目指しています。

左下第2大臼歯が保存不可能なので第3大臼歯を移植
  • before

  • after

年齢 35歳
性別 男性
主訴 左下の奥歯が欠けてしまい、食事をするのが困難
治療 歯の移植(治療期間:約半年間・治療費用:¥100,000・リスク・副作用:3年後に使用できる確率は約90%、5年後70%、10年後50%)
備考 このケースではインプラント治療も考えられますが、患者さんの年齢を考えるとインプラントは時期的に早く、歯牙移植を使用すれば、自分の歯で噛むことができ、費用も抑えられますので患者さんにとってのメリットは大きいと考えます(術後8年のレントゲン写真)

※患者様から承諾を得て掲載しております。

歯根破折を予防するために

歯根破折は、日常生活の中で特定の習慣や治療によって予防することが可能です。当院では、歯を守り、破折のリスクを減らすための予防策を提供しています。

  • マウスピースの使用

    歯ぎしりや食いしばりは、歯に過度な力をかけ、歯根破折を引き起こす要因の一つです。マウスピースを使用することで、就寝中やストレスがかかる際の無意識の噛みしめを防ぎ、歯にかかる負担を軽減できます。カスタムメイドのマウスピースは、口腔内の状態に合わせて作られるため、快適で効果的な予防策となります。

  • 咬合治療によるバランス調整

    噛み合わせの不均衡は、特定の歯に負担を集中させ、歯根破折のリスクを高めます。当院では、噛み合わせの調整や治療を行うことで、咬合力を均等に分散させ、歯全体への負担を減らします。定期的なチェックや調整によって、破折を未然に防ぐことができます。

  • ファイバーコアの活用

    従来の金属製の土台(メタルコア)は、歯と異なる硬さのため、歯根に過剰な負担をかけやすいことが知られています。そのため、当院では歯に近い弾性を持つファイバーコアの使用を推奨しています。ファイバーコアは歯と調和し、負担を分散させるため、歯根破折の予防に効果的です。

  • ボトックス

    歯ぎしりや食いしばりが原因で歯根に過剰な負担がかかることがあります。当院では、咬筋にボトックスを注入することで筋肉の緊張を緩和し、歯根破折のリスクを低減します。この治療は短時間で行え、副作用が少ないため安全です。筋肉の過度な力を抑制することで、歯や歯根にかかる負担を軽減し、効果的に歯を守る予防策となります。

  • 認知行動療法(CBT)

    歯根破折の予防には、ストレス管理が重要です。当院では認知行動療法(CBT)を活用し、歯ぎしりや食いしばりを引き起こすストレスや習慣にアプローチします。CBTは、ストレス反応を「認知」「感情」「身体」「行動」の4側面から整理し、認知や行動を見直すことで歯への負担を軽減する心理療法です。

抜歯の必要性と保存の可能性

歯根破折は、その状態や進行度によっては抜歯が必要になる場合がありますが、保存が可能なケースも存在します。当院では、患者様の歯をできるだけ残すことを最優先に考え、適切な診断と治療を行っています。

抜歯が避けられないケースと保存が可能なケース

歯根破折が重度の場合や、歯根が複雑に割れて感染が広がっているケースでは、抜歯が避けられないことがあります。特に、破折線が深く入り込み、歯周組織や顎骨に影響を及ぼしている場合は、保存治療の成功率が低下し、抜歯が選択されることが多いです。

一方で、破折が比較的浅く、感染が少ない場合や、破折部が単純である場合は、接着保存治療やクラウンレングスニングなどによって歯を保存できる可能性があります。これらの治療法は、歯の状態や患者様の要望に基づき選択されます。保存治療の成功率を高めるためには、早期の診断と適切な処置が重要です。

治療の成功率と再発リスク

保存治療の成功率は、破折の位置や歯の状態に大きく左右されます。例えば、破折が単純で、感染が限局している場合には高い成功率が期待できます。しかし、複雑な破折や長期間放置された症例では、治療の成功率が下がり、再発リスクも高まります。

また、適切な口腔ケアと定期的な検診により、再発リスクを低減できます。

歯根破折に関するよくある質問(FAQ)

Q.
歯根破折はどのような症状がありますか?
A.
初期段階では痛みがないことが多いですが、歯ぐきの腫れや違和感、歯が動揺する感じが現れる場合があります。また、噛んだ際に鈍い痛みや不快感、あるいは「パキッ」という音がする場合も注意が必要です。これらの症状を感じたら、早めに歯科医院を受診してください。
Q.
歯根破折が起きる原因は何ですか?
A.
主な原因としては、神経を取った歯(失活歯)の脆さ、金属の土台(メタルコア)の使用、歯ぎしりや食いしばり、不正咬合などが挙げられます。
Q.
歯根破折の診断はどのように行われますか?
A.
診断は視診に加え、X線写真やCTスキャンを用いて行います。特にCTスキャンでは3D画像により、破折の範囲や位置を正確に把握できます。ただし、破折線が内部に隠れている場合には、症状や歯周ポケットの深さなどを併せて総合的に判断する必要があります。
Q.
歯根破折が発見された場合、必ず抜歯になりますか?
A.
破折の位置や程度によりますが、軽度の場合は接着保存治療や意図的抜歯と再装着法などで保存可能な場合があります。ただし、破折が深く、感染が進んでいる場合は抜歯が必要となることがあります。
Q.
接着保存治療はどのようなものですか?
A.
接着保存治療では、特殊な接着剤を使って破折した部分を固定し、歯の強度を保ちながら機能を維持します。この治療法は、破折が軽度で感染がない場合に適用されます。
Q.
意図的抜歯と再装着法とは何ですか?
A.
意図的抜歯と再装着法は、一度歯を抜いて破折部を修復し、再び元の位置に戻す治療法です。歯ぐきの中深くで破折が発生している場合に有効で、歯を保存する可能性を広げます。
Q.
歯周外科処置によるクラウンレングスニングとは何ですか?
A.
クラウンレングスニングは、歯ぐきを切開して破折部を露出させた後、修復処置を施す外科的手法です。この方法は、歯を安定させ、補綴物を適切に装着するための準備を行うものです。
Q.
エクストルージョン(歯の矯正的挺出)とは何ですか?
A.
エクストルージョンは、矯正装置を用いて破折部分を歯ぐきの上に引き出す治療法です。これにより破折部を露出させ、保存治療が可能になる場合があります。時間がかかることもありますが、歯を抜かずに保存できる有効な方法です。
Q.
口腔外接着再植法とは何ですか?
A.
口腔外接着再植法は、一度歯を抜いて破折部分を特殊な接着剤で修復し、再び元の位置に戻す治療法です。破折線が単純で感染が限局している場合に適しています。
Q.
治療後の再発リスクはどのくらいですか?
A.
治療後の再発リスクは、患者様のセルフケアや定期検診、噛み合わせの調整などで大きく変わります。適切なメンテナンスを行うことで再発リスクを大幅に低減できます。
Q.
歯根破折を予防する方法はありますか?
A.
予防策としては、マウスピースの使用(歯ぎしり・食いしばり対策)、噛み合わせの調整、ファイバーコアの活用などを組み合わせることで破折のリスクを抑えることができます。
Q.
歯根破折の治療費はどのくらいかかりますか?
A.
治療費は治療法や破折の程度によって異なります。当院では、診察時に患者様の状況を詳しく説明し、費用について明確にご案内いたします。

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